moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

幻聴:裏の裏はおもて

★取材ノート★


 今まで 私は、お福にどんな幻聴が聴こえるか 訊いた事はなかったが
 ぼつぼつ 訊いてもいい時期だろう と思って訊いてみた。いつの頃かは知らないが過去の例である。


例①「扇風機を消せ!」の命令形の幻聴が聴こえた時


お福は幻聴の声の主の心理の裏を読むらしい。
 「この声の主は 本当は扇風機を作動させて風を頭に吹き付けることによって、自分(お福)の考えを支配しようとしているに違いない。わざと扇風機を消せ、などと裏を言って本来の目的の 風に因る洗脳を行おうとしているのだろう。」


と考え、結果的に扇風機のスイッチを切る。



 裏の裏は表だ。

ヒッキーのパラダイス生活

最近のお福の生活ぶりはこんな具合である。


朝10時頃起きて…(昼過ぎまで寝ている時もある)
調子のいい時は YouTube観てヨガをし、そのまま寝ずに起きたまま日中を過ごす。
調子の悪い時は 簡単なトーストで朝食・服薬を済ませ、また寝る。


午後1時、 ちょうど私が昼食を作った頃 自室から出て(起きて来て)昼弁当を食べ、調子の良い時は私の弁当パックも洗ってくれる。
服薬はきっちり自己管理出来ている。


午後2時、私が仕事で家を出た後は 彼女の言う「パラダイス」になるらしい。
陽当たりのいいリビングでテレビをつけながら、マイPCを開いてYouTube・ネットを楽しむ。
お菓子が欲しくなった時は、頑張って近くのコンビニまで買いに行くらしい。


気が向けば健康ステッパーを10分ほど踏む。最近はウォーキングには行かなくなった。


夕食は自分で調達する。以前はダイエット食の本を見て作ったりしていたが、最近はコンビニ弁当を買う方が多い。


買いに行くのが面倒な時はインスタントラーメンで済ましている。(その匂いを嗅ぐと、私もラーメンを食べたくなる。私の夕食は不味い宅配弁当だ。)



幻聴はその時期によって波があるので一概には言えないが…


先月は「この頃は幻聴が聴こえるのは月に2回くらいに減って、何を言ってるのかも分からないくらい(^^♪」と喜んでいたが、
ついこの前 通院した時は…お風呂に入っている時や寝入りばなに「写真を撮るな!」とか「ごめんね」と言う男の声が聴こえる、と言っていた。



風呂は 入ったり 入らなかったり…日によってまちまちだが、入浴した後は 必ず洗濯機に洗剤を入れてタイマーを仕掛けてくれる様になった。
私が入浴する時刻が遅いので(母親の私は変な処で神経質である。絶対一番風呂に入る) 自然と彼女の入浴・就寝時刻も遅くなる。


少し前、「バスタブから出る時 めまいがする」と言っていたので、以後 私は お福が無事にお風呂を出て自室に入るまで 起きて待機している。


お福の就寝時刻も遅いようだ。ごくたまに朝まで起きていることもある。そんな時は朝食9時が 彼女にとっては夕食になり、日中を寝て過ごす。


掃除やシーツ替えは 定期的に来るヘルパー「クイーン」に任せている。


活動の中身としては9~10歳くらいの女の子 と考えたら ちょうどいいくらいである。
家族以外の他人としゃべる時は緊張する。
気を利かせて 麦茶や珈琲を作り置く なんて事は出来ないが、少しくらいの買い物なら出来る、身体介護の必要のない子。
母親が料理嫌いなので 仕方なく自分の夕食ぐらいは頑張って自分で用意している…
そんな感じである。


特技は 母親も興味あるテレビ番組を見つけて録画予約する事である。


「女子刑務所の暮らし」「殺人者A少年のその後」「毒入りカレー事件の息子」などのドキュメンタリー番組である。お福は実に上手に 暗闇を照らしたテレビ番組を見つける。

木に登る豚なのにナぁ~

下の写真は、11年前のシステムキッチンに備えられたレンジフードの金属フィルターである。


私は 日頃はものぐさだが、一旦 興味を持ってことに取り掛かると 自分の気が済むまで 熱心にやり抜く。
その物の材質を探り  傷を付けない掃除道具を選び  手入れ方法を調べ上げる。



子育てもそうだった。
育児書を読み ラジオ子育て相談を聴き 教育家の講演も聴きに行った。
全然 うちの中を知らないスーパーのレジ係りの小母さんが じーっと幼いお福を視て「上手に育てているね」と声を掛けてくれた事もあった。


ジムに通っていた時もそうだった。
一人 鏡の前で練習していると「からまるさん、努力家ですね」とスタッフが感心していた。


有償ボランティアで小さな男の子の子守りをしていた時も、その若いママから「子供にどう接すればいいのか、その向き合い方が大変参考になりました」と礼を言われた。


そうなのだ。私は褒められたら 嬉しくて、すぐにその気になって 木に登るのである。


夫は惜しい事をしたものだ。
上手く褒めておだてれば 私は調理にも興味を示し ひょっとしたら凄腕の家庭シェフになっていたかも知れない。


あ~ぁ、残念で~したぁ。にゃろうめ。

とかくこの世はままならぬ

次郎夫婦は 私達 母娘の住まいから 少し遠くに暮らしている。


お嫁さんは躰が弱いので滅多にこちらに来られないが、次郎は 孫兵衛を連れて 1~2ヵ月に一度の割り合いでこっちのマンションに遊びに来る。


なるべく足しげく…孫兵衛を引き寄せるには、今は玩具で釣るしか方法は無い。


だから 私は色んな玩具の中古をフリマアプリで買う。


何しろ格安の値段で売っているし、孫兵衛が気に入って遊んでくれるかどうかも分からないのだ。他人様のお古で十分だ。
少々傷がついていても 安いに越したことはない。


プラレールや機関車トーマスの車、風船やジグソーパズル、水遊びセット等を揃えて
孫兵衛が来るのを楽しみに待つ。


下の写真は、最近買い足したアンパンマンパソコンとアンパンマンポップンボールである。

…しかし、残念ながら これらはあまり気に入ってもらえなかったようだ。



下の写真は 半分しか姿を現していないが、私がとあるブロガーのページを覗いた時に目に留まった健康器具である。
「健康ステッパーナイスデイ」と言う商品名だ。
足踏みだけの 簡単な運動で しかも場所を取らない。


大体 私は何でも三日坊主である。新品は要らない。中古をネットフリマで半額程度で買った。


どう言うわけか、孫兵衛は その健康器具を気に入り 小さな身体で片踏み、片踏み、して上手に遊んだ。
遊びはまだまだ続く。今度は小銭を足踏み台に乗せ、上からミニカーを走らせて小銭をバラバラっと下に落とす。
全く…小さな子供は 何をオモチャにするか、私達大人には想像不可能だ。

胃カメラの前の歯磨き

私の父は 毎食後 必ず丁寧に歯磨きをしていた。
水だけで 何十分も掛けて歯ブラシを動かす。
 
まだ認知症もそれほど進んでいない頃だった。
よく嘔吐するので 町医者から総合病院を紹介してもらい
その日は胃カメラ検査を予約していた。
 
朝、父宅に迎えに行くと、歯を磨いている。
何となく不吉な予感がした。胃カメラ検査は前日の夜から絶食の指示が出ていたのだ。
 
総合病院へ認知症の年寄りを連れて行くのは かなりのエネルギーを必要とする。
父は脚が悪かったので 駐車場から病院入口まで歩かせると20~30分は掛かるし
事故る危険性もある。
私は入り口で父を降ろし、そこでじっと待っている様言い聞かせて 急いで駐車場に車を入れに行く。
 
呆けスイッチが入ったら 自分でトイレに行こうとして駐輪場を彷徨ってしまうのである。
私はいつも診察に連れて行く時は 父一人待たせる数分の間でもヒヤヒヤ気を揉んだ。
 
予約していた胃カメラの順番が回ってきて診察室に入る。
医師は父のお腹を 外から見ただけで分かったらしい。
「お爺ちゃん 朝 食べたでしょ?」
 
結局、来週の胃カメラ検査の予約をして その日は終わった。
 
私は、次の胃カメラの前日には 父宅に泊まり込んで
何も食べない様「はり込み」することを決意した。
 
一週間後の検査前の夜、
幸い 父は 夜中 何も食べなかったが、朝方3時頃だったろうか…
急に起き出して 昨日〇〇をどこそこに落ちているのを見つけたから
これから拾いに行って来る、と言う。
○○が何だったか 今 私は全然覚えていないが、あの冬の寒さの中で
真夜中 一人自転車に乗って 物を拾って来る父の気力・体力には感服した。
 
翌日の胃カメラ検査は無事に終了し、入院治療につなげる事が出来たが…
 
私は思う。
介護や育児・家事でもそうだが
おそらく 華々しく結果が見える社会の仕事、そのどんな仕事でも
その陰では 表に現われない 目に見えない無駄足が存在するだろう と。