moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

自己啓発セミナー「白菜コース25万円」

あれは 太郎がパンドラーク社の自己啓発セミナーを受けている最中での事だった。


白菜コース25万円の受講中だったと思う。


何やら そのコースの日程の中で、2~3人の新たな受講者を勧誘する課題が出たらしい。
太郎は おとなしく無口な方で、学生時代は あまり友達がいなかった。
勧誘する為の電話先もネタが尽きて 母親の私に勧誘の電話が掛かって来た。


私は「タロ君が これ以上セミナーを受けない事 条件だったら、お母さん 25万円出して受講してもいい」
と言った。
取り敢えずは 太郎は私をセミナーの会場まで連れて行く。


先ずは説明会だ。
私と同じ様な受講希望者が4~5人 一グループとなって 白菜コースの説明を受けるのだが、
その前に ちょっとした、一対一で個別に対応してくれる女性が 私の話し相手になった。


五十代っぽい女性で、最近旦那さんを事故で亡くし、
それ以後  娘さんとの仲がギクシャクする様になり、この白菜コースを母娘で受講してから 再び仲は戻った、と言う。


私は白菜コースの素晴らしさよりも、 その旦那さんが どんな人で
どんな死に方をしたのか?、の方が興味があった。
その女性にとっては いい旦那さんで、彼女には 夫の突然の死がとてもショックで悲しい出来事だった様である。


私「そうですか…事故で 全くの即死状態だったのですね。」
女性「ええ、多分 本人は自分が死んだ事さえ気づいていないと思います。」
・・・・・
私「…そうですか… でも、理想的な死に方じゃないですか?
一番いい死に方だと思いますよ。」


その女性の眼がうるうるとなった記憶がある。


私は正直に思った事を言ったまでである。


家族の誰にも 介護の迷惑もかけず、痛くも痒くも感じずに あの世に行くのである。
自分が死んだ事さえ知らない…
私の理想とする逝き方だ。