moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

無邪気な認知症②

その頃、父は 自分で拾得した物も忘れるようになっていたようだ。


ヘルパーさんA・Bにも父宅に訪問介護に来てもらい
ちょうど 私と入れ違いの時間帯で父を看ていた頃である。


玄関に長い間、婦人用のジャケットがハンガーに掛けて吊るされていた。
見たところ 誰にでも着られそうなこげ茶のジャケットで
季節的にも オールシーズン着用出来そうなジャケットだった。


何ヵ月もハンガーに吊るされていた。
あまりに 長い期間 吊るされたままだったので、私はヘルパーさんA・Bに訊いてみた。
「どのヘルパーさんが忘れたままになっているのですか?」
ヘルパーさんは「え!?、娘さん(私のこと)の服じゃないんですか?」


その時、私には全てが見えた。



父にジャケットを見せ「これ、私の服でもないし、ヘルパーさんの誰の物でもないみたいよ。どこで拾ったん?」


父は「え?、拾ったって?、誰が?」





(この話をお福や太郎に聞かせ「お祖父ちゃん【誰が?】は無いよなぁ~」 とケラケラ笑うのであった)