moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

青い鳥の見つけ方②

対話によるカウンセリングは2週間ごとに受けた。


まずは現在の状態
・認知症の父が 常に気に掛かること
 ・お福の病気が最も心配なこと
 あと、夫との関係や家族構成などを告げて、現状把握だ


 その中で カウンセラーはこう教えてくれた
「お父さんの肺炎の辛さや痛みは お父さんの問題であって、貴女もその痛み・辛さを共有しなければいけない訳ではないのです。
 娘さんの病気も それは娘さんの問題であって 貴女が同じつらい思いをしなければいけない事はないのです。」


 父の教えや学校では 常に「相手に思いやりをもつこと」を最優先に教えられていたが、それほど真面目に相手の立場に立たなくてもよさそうだった。
 私は少し楽になった。



その次の回は若い頃の状態だ
最も心の傷として残っている事件
・職場で上司に掛けられた一言が私に決定的なダメージを与えた、その背景の分析だった。


 私は注文を受けてハンドメイドの物をつくる仕事に就いていた。職場は少ない人数で和気あいあいとした楽しい職場だったが、たった一言 上司が何気なく放った言葉「蔦さん、手が遅いんじゃない?」と、その言葉だけで私はひどく傷つき とうとう仕事を辞めるに至ったのだが…
カウンセラーは どうしてそうなったのか を解明してくれた。


 私は三人姉妹の一番下である。
 上二人は秀才肌で 私は一番 出来が悪かった。少なくとも周りからは「上の姉ちゃん達に比べて成績が悪いわね」と言われていた。
そんな秀才の姉が私に 常に言うのである。
 「蔦ちゃんは、のろま、のろま!」と。
 「のろま、のろま」と言われて育ったら 本当にのろまになる。
いや、何よりも自分自身で のろまな人間だと信じてしまう。
 私は 時間を競うのは最も苦手だった。絶対負けるのである。
 時間勝負はトラウマだった。
だから、上司が何気なく「蔦さん 手が遅いんじゃない?」は、そんな私の琴線に触れる 言ってはならない禁句だったのである。


 謎が解けた。



 毎回、カウンセリングを受けるごとに カウンセラーは私に訊いた。
 「愛してる、愛してる、は効いて来てるでしょう?
 前回から 今日までの間に どんないい事がありましたか?」


 私は一生懸命思い出して答えるのである
 ・綺麗な花壇を見つけて写真が撮れました
 ・ラッキーにも新鮮で安い食材が買えました
 ・友達にマンションを勧めたら その友達が本当にマンションを買って、紹介料を少し貰いました


5~6回のカウンセリングを受けている内に、私は気がついた。
 青い鳥は自分で探し出せば見つかるのである。
カウンセラーが聞き出すことで、私に青い鳥を探させていたのである。


げんきんなモノだ。「愛してる、愛してる」の呪文は、 私は もう唱えなくなった。