moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

闘いの火ぶたは斬って落とされる

「幻聴が聴こえる」


お福が 私に打ち明けたのは 初回 店子さんを訪問してまもなくの頃だった。
太郎が持って来た統失のネット検索の資料を読んで間無しだった。


 
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愕然としながらも…、私は努めてにこやかに 且つ尊大ぶって、
「えぇえ?そうなん?
じゃ 明日 さっそく医者に行こう!
いくらなんでも幻聴は さすがの このお母さんでも治せないわ。」
お福は「幻聴って 自分で分かっているから大丈夫ちがう?」


私「いやいや 放っておくわけにはいかない。風邪くらいなら お母さんが治す自信はあるけれど、幻聴までは無理だわ」



もう 絶対 一人にさせてはいけない。その時をもって彼女を私の保護下に置いた。



あくる日、月イチで通院していた「医師免許を持った人 その②」の精神科へ行く。
私「先生、幻聴が聴こえるらしいんです」


お福はかなり詳しくどんな幻聴が聴こえるか その②に話した。
命令口調で「道を譲れ!」「だからハローワークには行くな と言っただろう!」
「家から出るな!」と男の声。
ある時には優しい女の声で「ほら、そこに食べ物があるでしょう?」
色んな人が色んなセリフを言って来るらしい。


「幻聴が聴こえてしんどい」とお福は②に訴えた。


その②は さりげない顔で、そして さっぱりとした雰囲気で
「じゃ、薬を変えましょう。今日から〇〇を××時に飲んで下さい」と薬を変えた。


診察室からお福を先に出し、私は②と話した。
「統合失調症ですよね」
その②は その統失を疑いながらも お福を診て「恐れていた病気ではない」
診断を下した日から、真面目に通院していたにも関わらず早や一年半が過ぎていた。


その②は そんな誤診など無かったかの様に
「はい、薬は一週間 今の量を飲んで下さい。一週間後 また薬を増やします。
治るまで3~4年掛かります」(と またいい加減なことを言った。実際は10年経った今でも寛解には至っていないのである)


私は その②に訊いた。
「娘にはきちんと病名を教えた方がいいですよね」
私は敵(病気)を知って闘う方がいい、と考えている。敵を知らずして どうして闘うことが出来よう?
その②は言った。
「いいえ、教える必要は無いです。知って悪いことはあっても 良いことは何もありません」


この爺さん 何を言ってるのだ!
第二次世界大戦、アメリカの装備を もし日本国民が知っていたら 誰も竹槍の練習なんかしなかった筈だ。



その人の社会的地位・肩書きが その人の実力とは何ら関係ない事を、その時 私は知った。


店子さんに「悪口を言う声が聴こえたりしませんか?」と問いかけていた 若い医師の顔が頭に浮かんだ。