moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

医師免許を持った人 その② 後編

「とーごーしっちょうしょう」
その言葉を聞いたのは お福を迎えてからわずか2~3ヵ月後
下の姉の口からだった。
お福は父親の老人ホーム・病院にも顔を出し (彼女の)お祖父ちゃんを見舞っていたので、伯母にあたる下の姉とも時々顔を合わせていたのである。


姉「おかしいね~。福ちゃん どうしたんやろねぇ。とーごーしっちょうしょうでも無さそうやしね~」
私「え? 何それ?とーごーしっちょうしょう、って」
姉「昔で言う【精神分裂病】のことヨ。でも福ちゃんは分裂してないもんネ」
私「うん、うん、分裂はしてない」


やる気が出ないから 外に出ない。
面倒くさいから 用事はしない。
筋は通っていた。


私は思う。健康でさえ お金で買える と。
もし 私の夫が普通レベルの収入で普通の文化レベルの持主だったら
私も 或いはパソコンのネット検索に慣れていたかも知れない。
しかし その時は…ヤフオクで遊ぶ姉を横で見ながら
PCを持っていない私は、ネット検索の利用が我が娘の病気発見につながる事実を知る由も無かったのである。




日赤病院の元医局長にお福の様子を 事細かく説明して指導を仰いだ。
・もう 何ヵ月も引きこもって何もしない
・どうやらお父さんにボロクソに叱られて自信をなくした様に思う
・折り紙を褒めたら 嬉しそうだった
・薬に麻薬が入れられている と変なことを言っていた
・部屋に盗聴器が仕掛けられているから と言うので筆談した
・自力で治す と言って頑張っていた
・不眠症で昼夜が逆転している
うん うん 聞いていた名医は、色んな事を要領悪くしゃべる私をさえぎる様に
「アンタの話しは 重要なことと重要でないこと ごっちゃになって分かりにくい!、いいですか!?
【麻薬】【盗聴器】、この重大な言葉から『統合失調症』と言う恐ろしい病気の可能性が考えられます。放っておくと廃人の様になりますよ。明日にでも すぐにココへ連れて来なさい」


私は恐れおののいて 翌日 必死になってお福を その名医の元に連れて行った。
お福と名医との問診は穏やかに10分ほど行われた。名医は優しくお福に問い掛けていた。内容は…私は覚えていない。


ただ、名医が結論付けたのは
「恐れていた様な怖い病気じゃありません。」


私は 図らずも安堵の涙が どッと出て、どう考えても涙は誤魔化せず 娘にバツの悪い思いをしたのを覚えている。