moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

医師免許を持った人 その①

衣・食・住の基本的な人間の営み
その生活を お福がノンストレスで送ることが出来るよう
私は 父親をもホーム任せにせず まめに面会に行き、自分の趣味であるジム通いも欠かさず…
毎日 走り回っていた。
まだ 自分の病気バセドウに気づかず、己のことは後回しにして。


お福は毎日 妄想を言っていた訳ではない。
こっちに来てからは穏やかな引きこもり生活を送っているように見えた。
太郎が泊まりに来ても 変な妄想を投げたのは一回きりである。


しかし…やはり どこか具合悪そうだった。
医者にもらった薬も飲んでいる気配がない。
他の医者でも診てもらおう。完璧主義と言うほどでもないが、私はベストを尽くしたかった。
別の「心療内科」に連れて行った。女性の名が看板に書いてあったので
女医の方が胸の内を明かし易いだろう と考えたし なんとかセラピーみたいな近代的なカプセルも設備している。何か良くなる方法があるかも知れない。


私はお福を女医の前に差し出して「お願いします。」


ココで私は大きな思い違いをしていた。医者は偉い、患者を見せさえすれば悪い処がすぐ判るだろう と。
車検とか 健康診断みたいに、ポンと前に患者を置けば悪い箇所を発見して治してくれる…そのように考えていた。


それに元来 私は無口な方である。「雄弁は銀 沈黙は金」と父親から教えられていた。女は慎ましくしとやかに…素直が一番。つまり自己主張はあまりイイ事ではなかった。
お福の被害妄想の様子は何一つしゃべらなかった。なにより、私的には「単なる思い違い」で済ませていたのだ。


女医とお福の間で問診が行われていた時、お福が「親に捨てられそうな感じがする」
と女医に訴えた。(*_*;!、びっくりした。そう言えば冗談めかして そんな事を私にも言っていたのを思い出した。
そう そう 其処!其処!
そんなことあり得ないのに、「じゃ、何故そんな感じがするの?」「どんな考えから その様な結論になるの?」…当然 医者は謎解きを進めてくれるだろう、と期待した。


が、、その若い女医は母親の私に 矛先を向けて来たのである。
「お母さんは その言葉を聞いて どう答えたのですか!?」と詰問してきた。
ん?、あの時? はぁ~ん・・としか反応してなかったような…。
私は頼りなげに「ふぅ~ん、と言ったと思います」
あろうことか 女医はキツい口調で「お母さん! そんな時は嘘でもいいから 絶対に棄てたりなんかしないから!、と言うべきなんです!」


え?、我が子に嘘なんかついてもいいの?


子育ての経験のない女医だ、と直感した。


案の定、女医が下した結論は「まだ若い女性なので、今後 妊娠の可能性も考慮に入れてキツい抗精神病薬は出さずに 頓服的に使う安定剤を出しておきます。気分が悪い時だけ服用して下さい。毎日服用する必要はありません」