moetudukeruonnaのブログ

娘が罹患した失統との闘い

ヘルパー篤姫

ヘルパー篤姫は、 最初は 清姫の代役として 同じ事業所から来てくれた。
清姫と相前後して居宅サービスを提供してくれた人だったが
この人は 常にイライラしている清姫と違って、 雰囲気はおっとりした親切小母さんだった。


私よりも年上なのは すぐに見て取れた。


掃除が好きで おそらく上手なのだろうと思う。


篤姫は掃除の仕方を 家事の嫌いな私に熱く教えてくれた。
・掃除は上からするのよ、先ず ドアの上から拭いていくの
・電燈の傘も先に拭かなきゃね、規約を外れるけれど 私は掃除好きなので
今度 拭いてあげる
・掃除の好きなヘルパーは巾木の上も拭くの。だから他のヘルパーが拭いていなかったら 私的には もっと綺麗に掃除してあげればいいのに、って思うのよ
・家では定期的に掃除する場所を決めて 毎日 少しずつ綺麗にしてるのよ
シューズボックスは月イチで必ず雑巾がけするの
・カーテンもびっくりするくらい汚れているわよ。今度 洗濯してあげるわ


確か、初日は『掃除講義』に時間を取られ、食料買い出し・四角い部屋を丸く掃く掃除・調理の三つだけで4時間近く掛かってしまったと思う。私は眼科に行く予定をあきらめた。


次の居宅サービスでは 確かにカーテンの洗濯は行ってくれた。電燈の傘も拭いてくれた。
私はテーブルを一緒に運んだり、下で支えたり で、サポートが必要な作業だ。
その日も篤姫のお喋りは花が咲いた。
・うちの子がドクターコパの風水にはまっていて二百万も使うのよ
・胆石が三つほどあって、この前 「持ち主と同じ頑固な石だなぁ」って医者に言われたわ
・先日  食事に行って いざ会計って時にお財布が見つからないの。一生懸命捜したら…脇に挟んでいたわ(キッチンの湯を出しっぱなしで実演、お喋りしてくれる)


…時には、座卓の前に座り、時には掃除機を持ったままの立ち姿で…
結局 その日も巾木どころではなく トイレも風呂も掃除する時間が無かった。



清姫と篤姫に 居宅サービスを受け始めてから半年過ぎた頃、お福が言った。


「幻聴が増えて来た」


所長さんは大変親切で、利用者に優しく 大胆に便宜を図ってくれたが…
何しろ 以前の狭小住宅から荷物を運び出す作業も請け負ってくれたくらいである。
しかし 背に腹は代えられなかった。
私は事業所を変えざるを得なかった。